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2012年2月8日開催 シンポジウム報告

「医学系産学連携を考えるシンポジウム―医学系産学連携活動を通してアカデミアは何を目指すのか―」が開催された

東京医科歯科大学は平成24年2月8日、東京医科歯科大学 M&Dタワー2階 鈴木章夫記念講堂において「医学系産学連携を考えるシンポジウム―医学系産学連携活動を通してアカデミアは何を目指すのか―」を開催した。

このシンポジウムは、医学系大学・研究所というアカデミアが持つ優秀な人材、研究成果、診療技術などを、企業の協力のもとに、どのようにして社会に還元していくかについて話し合うことを目的として実施した。

講演者には、文部科学省、経済産業省、大学、研究所などの識者を招き、各領域での産学官連携の経緯と現状、問題点、今後の課題などについて報告した。
里見 朋香氏(文部科学省 科学技術・学術政策局 産業連携・地域支援課長)は、現在わが国において早急に求められている急速な高齢化に対する医療・介護問題の解決方法など優位性のある研究分野について、アカデミアの独創的手法を活かし、ライフイノヴェーションを創出する取り組みを重点的に推進するために、産官が積極的に支援する必要があることを指摘した。

進藤 秀夫氏(経済産業省 産業技術環境局 大学連携推進課 大学連携推進課長)は、産学官連携が量的には増加傾向にあるものの、質的な向上を推進する時期になったと現状を報告。大学の研究に関心を持つ企業郡と大学との情報交換をはじめとする「共同事業活動」を通じて、産学官連携の研究に関する質的向上をめざす必要があることを提案した。

内田 淳正氏(国立大学法人三重大学 学長)は、2002年から産学官が一丸となってスタートした協働事業『みえメディカルバレープロジェクト』のケーススタディを紹介。三重県内の大学、産業界、公共団体、県民が協力し合って、医療ネットワークの構築、臨床試験・治験の促進、バイオ産業創出、製品開発などを成功させた事例について説明した。

黒木 由夫氏(公立大学法人札幌医科大学 理事・医学部長)は、札幌医科大学での骨髄幹細胞による脳梗塞治療の取り組みについて紹介し、アカデミア側の知財意識の向上と特許ビジネス戦略の活用が必要であることを指摘。そのためには産学連携を管理運営する組織の強化と、医学における知財管理・技術的支援をサポートする体制を整備する必要があると提案した。

高坂 新一氏(国立精神・神経医療研究センター神経研究所 所長・理事)は、精神疾患、神経疾患、筋疾患などの基礎的な研究の成果を臨床に応用するための人材育成や臨床研究・治験推進を行う「トランスレーショナル・メディカルセンター(TMC)」の事業について説明した。この中で産学官連携を推進するための支援を行う「ビジネス・ディベロップメント室(BD室)」が、共同研究や治験のコーディネート、知的財産の保護・管理・活用、社会連携活動を健全に行うための支援・教育などについて、大きな成果を上げていることを報告。産学官連携のためには、アカデミア内で「情報を集める工夫」と「情報を使ってもらう工夫」を強化する必要があると述べた。

水谷 修紀氏(東京医科歯科大学 副学長・産学連携推進本部長)は、東京医科歯科大学における産学官連携の現状を報告。産学連携契約数は順調に増えているものの、個々の連携が多様化し、それに伴って支援する業務も複雑化していること、案件に対する質の高いサポートが必要となっていることなどを新たな問題点として指摘した。この解決策としては、専門的なスキルを持った専門家集団による産学連携支援必要性について説明した。

森田 育男(medU-net会長 兼 東京医科歯科大学研究担当理事・副学長)氏は、アカデミアの力を社会に活かすことが産学官連携と大学を中心とするアカデミアの使命であり、これを実現するために現状では予算不足、人材不足、産学連携に対する意識の低さなどの問題が大学内にあることを報告。今後ますます、大学間の連携・相互補完システムを充実させ、アカデミア発のネットワークが、産学官連携戦略の先頭に立って推進する必要があると述べた。